工程を減らす精密加工

  • TOP
  • 工程を減らす精密加工
加工機の操作盤を操作する当社の加工現場

工程を減らすことが、環境と人への配慮になる

塚原製作所は「環境や人にやさしく、社会やお客様に貢献しながら成長する企業」を理念に掲げています。その具体的な取り組みが、金型づくりの工程そのものを加工技術で見直すことです。

この加工の出発点は、良いものをつくりたいという思いです。磨きや手直しで形を整えるのではなく、削る段階の精度で仕上げることを大切にしてきました。

精度があるからこそ、工程を減らせます。工程が少なければ加工時間が短くなり、お客様には短い納期でお届けできます。福島県西会津町で少数精鋭のものづくりを続ける私たちにとって、限られた人数でも仕事を回せる体制は欠かせません。熟練の手作業に頼る工程を少なくし、加工の条件やデータとして技術を残していくことは、次の世代へ技術をつなぐことにもつながると考えています。

当社の金型加工の特長

  • 主な面をすり減りにくいCBN工具1本で削り上げるので、磨きに頼らずに仕上げられる
  • 工具を傾けて削れるので、材料の付け直しが少なく済む
  • 1台の加工機で最後まで削り切るので、工程も待ち時間も少ない

金型づくりで手間がかかる工程

金型は、削る以外にもいくつもの工程を経て完成します。なかでも時間と人手がかかるのが、次の3つです。

手作業での磨き(職人が砥石で表面の段差を整える)、電極づくりと放電加工(工具が底まで届かない深く細い溝は、形に合わせた電極を別につくって加工する)、段取り替え(上から届かない横の面を削るため、材料の向きを変えて付け直す)を示す図

磨きは熟練の技能が必要で、担い手の確保が年々難しくなっています。電極は製品に残らない材料でつくられ、どの工程にも時間と人手がかかります。

CBN工具で、磨きに頼らない仕上げ

当社は、金型の主な面を、すり減りにくいCBN工具1本で仕上げています。工具を替えた境目の段差が出にくく、磨きにかかる時間を短くできます。

CBNとは

CBN(立方晶窒化ホウ素)は、ダイヤモンドに次ぐ硬さをもつ工具の材料です。熱に強く、鉄と反応しにくいため、焼入れして硬くなった鋼の仕上げに向いています。こうした硬い鋼を削るとき、一般的な工具の材料である超硬合金よりもすり減り(摩耗)にくいのが特長です。

同じR0.3の工具でも、超硬工具は削るうちに先端が摩耗して削り残しが出るが、CBN工具は刃先の形を保ちやすく、形のずれが小さいことを示す図

同じ太さの工具でも、超硬は削るうちに先端がすり減り、形がずれていく(左)。CBNは刃先の形を保ちやすい(右)

以前の仕上げと、今の仕上げ

以前は超硬の工具で仕上げていました。細い工具(R0.3)は長い仕上げの途中ですり減ってしまうため、広い面は太い工具(R1・R0.5)で仕上げ、太い工具が入らない隅だけを細い工具(R0.3・R0.2)で追加工していました。太い工具は削る回数が少なく、速い条件で削れるため、すり減りの影響が小さく、加工時間も短く済むからです。工具を替えた境目にはわずかな段差が残り、それを磨きで消していました。

今は、すり減りにくいCBNの細い工具(R0.3)で、主な面を1本で仕上げています。工具を替える境目が減ったことで、磨きにかかる時間を短くできるようになりました。

以前は超硬のR1・R0.5で広い面を仕上げ、取り残しをR0.3・R0.2で加工したため境目に段差が出ていたが、現在はR0.3のCBN工具1本で主な面を仕上げ、境目の段差が出にくいことを示す断面図

以前は工具を替えた境目に段差が残った(左)。今は主な面を1本で仕上げる(右)

CBNを使いこなすための工夫

CBNは硬い一方で粘りが少なく、急な負荷がかかると欠けやすい性質があります。そのため、使い方に工夫が必要です。当社では次のような工夫を重ねています。

  • 削り残しをそろえる:仕上げの前に、残す厚みが均一になるよう加工の手順を計画する
  • 条件づくり:材料や形に合わせて、工具の欠けを抑える回転数や送りを決める
  • 暖機運転:加工前に機械を温め、熱による寸法のずれを抑える
  • 細い隅を先に仕上げる:R0.3より細い隅は小径工具で先に最終形状まで加工し、そのあとCBNで境目を合わせ込む
技術的な詳細を見る
  • 加工の流れ:熱処理(焼入れ)を先に行い、D200Z 1台で荒加工 → 内側のRが0.3mmより小さい隅を小径工具で最終形状まで加工 → 主な面をR0.3のCBNボールエンドミルで仕上げ
  • CBN仕上げの対象:焼入れした鋼。STAVAX(HRC50台)が中心
  • そのほかの材料:チタンなども加工できます(材料に合わせた工具を使います)
  • 細部:内側の隅は、小径工具で最小R0.05mm(丸みの半径0.05mm)まで加工できます。境目は暖機と寸法管理で合わせ込み、段差をごくわずかにとどめる
  • 熱処理を先に済ませるため、仕上げ形状が熱処理による変形の影響を受けにくい
  • 参考:公的機関の試験でも、焼入れしたSTAVAXの仕上げで、超硬工具は摩耗によって形状がずれたのに対し、CBN工具は形状のずれが小さいという結果が報告されています(埼玉県産業技術総合センター 研究報告 第2巻「マイクロ成形金型の高速・精密加工条件の最適化」)

▶ 小径工具による直彫り加工の取り組みは 高精度直彫り加工 へ

工具を傾けて削る5軸加工

一般的な加工機(3軸)は、工具を真上から当てて削ります。当社の同時5軸加工機は、削りながら工具の角度を変えられます。

  • いろいろな向きの面を削れるので、材料の付け直しが少なく済む
  • 工具を短く持てるので、ぶれにくく、きれいに削りやすい
同時5軸加工機 D200Z
使用している同時5軸加工機(牧野フライス製作所 D200Z)
5軸加工で削り出したSTAVAX製のサンプル
5軸加工で削り出したサンプル(STAVAX)
3軸加工では壁際で工具を長く突き出す必要があるが、同時5軸加工では工具の角度を変えて短い工具で加工できることを示す図

高い壁の際を削る場合の例。5軸なら工具を傾けて、短いまま届かせられる

▶ 5軸加工の実績と加工動画は 高精度への取り組み へ

▶ 使用設備は 設備紹介 へ

工程の変化(一例)

従来の工程の一例(荒加工、熱処理、電極設計・製作、放電加工、段取り替え、手磨き、完成)と、当社の工程(先に熱処理を行い、D200Z 1台で荒加工からCBN工具による仕上げまで削り出して完成)の比較図

オレンジ色の工程を、1台の加工機での削り出しに置き換えるイメージです

お客様にとってのメリット

  • 磨きによる形の崩れが少なく、設計どおりの形に仕上がりやすい
  • 仕上がりが職人の腕に左右されにくく、品質が安定しやすい
  • 工程が少ない分、納期を短くできる場合がある
  • 電極づくり・放電加工・磨きを別々の会社に頼んでいた形状でも、当社の削り出しでまとめて対応できる場合がある

設計の段階からご相談ください

磨きや放電加工をどこまで省けるかは、形状、材料、求める仕上がりによって変わります。すべての金型で工程がなくなるわけではありません。

だからこそ、図面が固まる前にご相談いただくことに意味があります。「この形なら削り出しだけでつくれる」「内側の角の丸み(R)を0.3mm以上にできれば、細い工具を使わずに仕上げられる」。加工の視点を早い段階から取り入れることで、工程の少ないものづくりを一緒に考えます。設計が進んでいる案件でも、今の図面のまま省ける工程がないかご提案します。

ご相談の際にあるとスムーズなもの

  • 3Dデータまたは図面(検討中のものでも構いません)
  • 材料・硬さ
  • 求める寸法の精度・表面の仕上がり
  • 数量・希望納期

形状や材料が決まっていなくても、お気軽にご相談ください。

お問い合わせフォームTEL 0241-48-1461